”手縫い”で製作している理由

OUGI Leathers
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革は皮でした

革は動物の皮から作られているのは、ほぼ知られていることだと思います。動物から肉をいただき、副産物として出た皮を加工した物が革です。

言葉書くとシンプルですが・・・。

牛でいうと育て上げていく過程で、畜産家がどのような思いでどのように育てているかなど想像できますでしょうか。@JakeItogawaさんのTwitterをみると、その様子が見れると思います。

屠殺(とさつ)を経て肉と皮と骨になり、全て余すところなく使われています。

2018年12月5日、皮から革に加工する過程を栃木レザー株式会社にて見学をさせてもらいました。Webサイトに栃木レザーの極上のヌメ革が生まれる製造工程が掲載されています。ご興味のある方は、ぜひご覧ください。

畜産家や革加工工場がどのような事をしているか知ってほしいと思いますので、簡単に書きました。調べると色々な事がわかると思います。

私は、元は生き物だった素材を使っている事を大切にしています。丈夫な素材に作っていただいた敬意もあります。ですので出来るだけ製品が長持ちするように、素材の丈夫さを活かせる”手縫い”で製作しています。

一部ミシンで作っていますが、今のところミシン縫いをメインにする気はなく、素材の丈夫さを活かす手縫いにこだわっています。OUGI Leathers を試してみる最初のきっかけなればと思います。

手縫いとミシン縫いの違い

手縫いの手順とミシンの手順で縫った場合の内部がどうなっているのかを見るためのサンプルです。左が手縫い、右がミシン縫いです。

ミシンは上糸と下糸をかけながら縫っていきます。手縫いは上糸と下糸をクロスさせながら縫っていきます。そのため糸を黒と白で縫うと画像のような模様になります。

手縫いはさらに糸に蝋を塗りこんでいます。蝋は縫うときに縫い目の中でクロスされた糸同士が摩擦でくっつくように固定されるので緩まずに縫えます。目視しながら糸の締め具合を調節できますので、革の様子に合わせた縫いを行うことができ、均一で整った縫い目になります。また、蝋には糸の繊維の擦れから保護する役目もあります。

一部切ってみました

切れた糸を引っ張ったらスルスルと糸が抜けた。など経験があると思います。ミシン縫いは上糸下糸をかけながらですので一か所の糸切れでほつれが進みます。手縫いはその部分だけです。

蝋を塗り込むことで、糸を切れにくくしているのに、切れてもしばらく安心なのは手縫いならではです。

手縫いのように縫えるミシンも調べてみましたが、蜜蝋を塗ってこのようにクロスしながら縫う物はありませんでした・・・。

手縫いならではの形

この画像にミシンでは縫えない場所があります。

それはマチの部分です。この画像でいくと物を入れた時に広がってくれる部分です。画像右端のUの字の部分はマチを半分にして2枚用意して、平面で本体とマチを縫ってからマチとマチを縫えば可能です。

手縫いは小回りが利くのでUの字に縫えます。縫い目を最低限にした、シンプルな物が製作できるという利点もあります。表現したい形を縫い目を少なくして完成させるのも美しくて良いと考えています。

縫い目も

製作時にはフォークのような形の菱目打ちという道具を使って穴をあけます。ただ真っ直ぐに同じ深さの穴を開けていきます。単純ですが、人の手は思った以上にその通りに動きません。ですので
熟練の技が必要です。

適切な菱目打ち、縫い穴にあった糸の太さ(好みの)、適切な手縫いの力加減が合わさると美しい縫い目になるのです。時々ミシンのように綺麗と言われる事がありましたが、縫い目については手縫いの方が美しい縫い目になると思います。

などなど思いながら日々手縫いを行っています。

OUGI Leathers 後藤

PROFILE

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大阪市西区新町で革製品のデザイン、製作、販売をしています。 https://handsewn.ougileathers.shop/
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