コーヒーゼリーの話
motif. 進藤 純子
さらに表示
徐々に気温が上がり、冷たくて口の中がスッキリとしたものを食べたくなります。
我が家はよく、ゼラチンパウダーや寒天をお湯でふやかし、ジュースやフルーツなどを加えたものを、そば猪口や小さな器に入れ、冷蔵庫で冷やすだけで出来上がるような、手軽で簡単スイーツを作って食べています。
液体だったものが冷たい冷蔵庫の中で時間を経て固まり、プルプルと光を放って出てくる変化が面白くもあり、今回は味が濃いとか薄いとか、この味は有りとか無しとか、簡単にできるから、何度も作って試して、楽しめるクッキングの一つだと思っています。
よくよく思い出してみれば、私の祖母の十八番はコーヒーゼリーでした。
甘さはなく、いわゆるブラックコーヒーのゼリーで、子供のころのわたしはこの美味しさがわからず、市販のしっかり甘いコーヒーゼリーの感覚で食べるので、ほろ苦い祖母のゼリーには必ず多めにミルクをかけて食べないと食べられませんでした。
もう10年以上前に祖母は他界しており、台所に立ち、得意のコーヒーゼリーを振る舞う姿は遠い思い出となりました。
もうあの味には出会えませんが、ゼリーを作りながら、おばあちゃんもこの冷蔵庫から出る瞬間の、出来た!の感覚を楽しんでいたのかなと思いを巡らせています。
PROFILE
- motif. 進藤 純子
- 陶磁器で生活雑器や、オブジェ、アクセサリーなどを製作しています。
草や木、花、動物、ひと...等身近にあるものをモチーフに、ろくろやてびねりで形作ったものに絵付けを施し、個性をプラスして彩と楽しさを表現しています。
手作りの持つ独特の柔らかさと温かさ、筆で表す不確実さと濃淡に現れる動きで、作り手のその息遣いを感じていただけることを願っています。
【motif.オフィシャルサイトはこちら】
関連記事
PICK UP
ミタス編集部がおすすめするピックアップ記事
RANKING
ハンドメイドの人気記事