親孝行の話

motif. 進藤 純子
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桜も咲き誇り、春本番となりましたね。

わが家では3月は別れの季節でもあり、娘が少しだけ遠くの地へと旅立っていきます。
寂しくなりますが、子供にとってまた一段と成長できる良い機会。引き続き陰ながら応援していきたいと思っています。

私の場合は、親元を離れたのが高校を卒業したときで、陶芸を学ぶため地元を離れ進学しました。
とても楽しい学生生活だったのですが、陶芸を続けることは難しいな、と早々に諦めてしまいました。

ただ申し訳ないのが親の事。
たくさんお金をかけて進学させてもらったのに、学んだことを生かせないなんて不甲斐ない…と当時は自責の念にかられながら地元に戻り、陶芸とは全く別の仕事に就きました。

そのモヤモヤの問題解決のひとつとして「陶芸に関わる仕事に就いて親孝行ということにしたら?」と姉にアドバイスされ、その手もあるなぁと陶芸教室のスタッフとして働きました。

好きだから続けたいという感情より、親孝行したい、恩返ししたいから陶芸関係の仕事に就いたという方が当時の自分には強かったのですが、はじめるとどんどん面白くなって、いつのまにやら思いは逆転し、結果的には今に至っているという感じです。

これは最近の話なんですが、たまたま観ていたとある動画サイトで、「親孝行は3歳で終わってます。一番かわいい時期を存分に親は味わったんだからもう十分なんですよ。」といった内容の話をされている方がいました。

「親孝行」という言葉に勝手にひとりで胸の奥でチクリとなっていた10代後半〜20代を思いだしたと同時に、まるっと言葉通り飲み込むというより、心の片隅にあると気が楽になる考え方。
そして、これから親元を離れ未来に向けて自分の人生を歩む娘にも思えた言葉でした。

新年度、新たな気持ちで作品づくりを頑張りたいと思います。

PROFILE

motif. 進藤 純子
陶磁器で生活雑器や、オブジェ、アクセサリーなどを製作しています。
草や木、花、動物、ひと...等身近にあるものをモチーフに、ろくろやてびねりで形作ったものに絵付けを施し、個性をプラスして彩と楽しさを表現しています。
手作りの持つ独特の柔らかさと温かさ、筆で表す不確実さと濃淡に現れる動きで、作り手のその息遣いを感じていただけることを願っています。
【motif.オフィシャルサイトはこちら】
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