てづバvol.44のキービジュアルは、見ても食べても美味しいアイシングクッキー

Kaori Sawada

いよいよ12月2日(土)3日(日)に開催される「OSAKAアート&てづくりバザール(てづバ)vol.44」。イベントのキービジュアルは、てづバでいつも人気が高いLilou cookieのアイシングクッキー。イベント会場で展示もされます。クッキーのクリエイターで日本アイシングクッキー協会の認定インストラクターでもあるLilou cookieの串山馨さんに、アイシングクッキー作りとキービジュアルの制作について話を聞きました。

ひと目惚れから始まった、アイシングクッキー作り

(Lilou cookieのてづバ出店は12月3日(日)のみ。その日に販売されるクッキーはこちら)

 

――食べるのがもったいないくらいかわいいクッキーですね。アイシングクッキーを作りを始めたきっかけについて教えてください。

 

たまたまインターネットで写真を見たのが最初です。アイシングクッキーの発祥地であるイギリスで学んだ方が作ったクッキーでした。10年以上前になりますが、当時アイシングクッキーはまだ珍しく最初は写真を見て癒されるだけでした。作り方の本が発売されるようになったのでそれを買って自分で作ってみると全然うまくできない(笑)。それで悔しくなって、本腰を入れて作ることにしたんです。練習で作ると自分だけでは食べきれないので、当時の職場の人にプレゼントするようになりました。

 

――ひと目惚れみたいな感じですね。プレゼントすると喜ばれたのではないでしょうか。

 

そうですね。すごく喜んでもらえました。何か機会を見つけては誰かにプレゼントするようにしたりして。その時に喜ばれた経験は、今クッキー作りを続けていることの原動力になっています。

(クッキーのパッケージが工夫されていて、オーナメントにもできます)

 

――それまでも何かハンドメイドの作品やお菓子を作っていたのですか?

 

それまでは縫製の仕事をしながら副業でアクセサリーを作って販売したり、お菓子は自分のために作ったりしていました。

 

――ハンドメイドのアクセサリーもそれを使う方に喜ばれるものだと思いますが、アイシングクッキーとの違いは何でしょうか。

 

私にとってアクセサリーは自分を表現するというか、自分の作りたいものを作るというものでした。アイシングクッキーはクッキーを手にした方が喜ぶ顔や、プレゼントする時のシチュエーションを考えながら作るので、作る時の方向性が全く違いますね。

お客様のターゲット層も、私自身を表現したアクセサリーだとそれを気に入って購入していただくので狭くなってしまうんです。クッキーは性別関係なく、子どもからお年寄りまで幅広く見て食べてもらえることが魅力です。

(丁寧な作りのクッキー。コレクターの方もいらっしゃるのだとか)

 

――そして趣味から始まったアイシングクッキー作りを、仕事にしようと決めたんですね。

誰かにクッキーを喜んでもらえることで自分自身が嬉しい気持ちになるということ、そして何より作ることが楽しかったのでどんどんのめり込み、これを本業にしたいと思うようになりました。いざ調べると必要な準備がたくさんあることが分かったので、資金を貯めたり、食品衛生法を学んで資格を取得したり、スタートアップセミナーに行ってみたり、独立まで色々動きました。進めて行くうちに、これは道楽ではできないぞと思って覚悟を決めました。

アイシングクッキーの作り方もそれまでは独学で、自分の技術が合っているのか、発信していいのかと不安があったので、今所属しているアイシングクッキー協会認定講座を受講して認定インストラクターの資格を取ることで自信がつきました。現在アイシングクッキーの教室も開講しているので、希望する生徒さんがいらっしゃれば認定講座を受けていただくことができます。

(取材したのは教室兼自宅というお洒落な一室。クッキーの雰囲気とピッタリです)

 

――販売方法についてはいかがでしょうか。てづバへの出店は長年続けられているそうですね。

 

販売方法は試行錯誤ですね。最初は小さいアトリエで製造販売していたのですが、アイシングクッキーは作るのに時間がかかり量産ができないので、接客しながらだと製造まで手が回らない。さらにアトリエは隠れすぎなくらい(笑)隠れ家のような、わざわざ来てもらわないといけない場所だったので、せっかくお越しいただいても品揃えが悪い状態だと申し訳ないと思うようになり、1年くらいで販売方法を変更しました。

イベントへの出店は最初からしていたのですが、色々なイベントに出てみることで傾向を掴み、その中でてづバは継続させていただいています。出店の場合はその日に向けてクッキーを準備するので、作ることだけに集中できます。他にはネット販売を始めました。受注生産だとロスも出ません。イベント出店とネット販売、その合間に教室を開講するようにしています。自分に無理なく続けられる方法を模索し続けていて、だいぶ流れが出来てきましたが、それでも常に改善し続けています。

「絵本の世界」「森の動物たち」というテーマから生まれたてづバの作品

――てづバのキービジュアルについて教えてください。動物たちの話し声が聞こえてきえそうな楽しい作品ですね。これはどのようにして生まれたのでしょうか。

 

てづバのイベント担当の方から「絵本の世界」「森の動物たち」というテーマをいただいて、そこから考えて作りました。AとBの2案を用意して提案し、A案で進めることになりました。

(貴重な下絵を見せてもらいました。こちらは採用されたA案で、プレゼントを用意しているサンタさんに動物たちが逆サプライズをしようとしている場面です。普段からこのようにノートに下絵を書いてクッキーのイメージを作っていくそう)

(こちらはB案。動物たちがクリスマスパーティーをしている場面)

 

――それぞれのクッキーがとても細かいのですが、型はどうやって作っているのですか?

 

いつもならクッキーの下絵を書いて、それに合わせてアルミ板を使いオリジナルで型を作るのですが、今回はこのビジュアルのためのクッキーなので型はなしで、生地から包丁で切り抜いて焼き、アイシングしました。サンタさんの家はパーツを用意して組み立てました。一番難しかったですね。

 

――撮影はいかがでしたか。

 

クッキーの撮影方法は平置きにして上から撮るか、ツリーのオーナメントのようにするかなど色々案があった中で、クッキーに棒をつけて刺して並べられるようにしました。雪の結晶は穴を開けて吊るす予定でしたが別撮りにして合成し、いい感じに仕上がりました。

 

――今回このようなビジュアルを作ってみてどうでしたか?

 

このようなクッキー作りもプロの方に写真を撮っていただくのも初めてで、とても楽しかったです。てづバの会場で、ぜひ本物を見てみてください。

(こちらが完成したてづバのビジュアル)

これからも長く続けていくことを目標に

――今回初めての挑戦をされましたが、今後やってみたいことなどはありますか?作品集など見てみたいなと思いました。

 

作品集はいいですね(笑)。ですがまずは、今やっていることをずっと続けていくことが目標です。続けていくことって簡単ではないと思っています。イベントの出店も、実は当日までとてもしんどいんですよ(笑)。ですが、イベント会場で作ったクッキーを見て喜ぶお客様の顔を見ると、エネルギーをいただけるような感じで次も頑張ろうって思って体が動くんです。

 

――まるでステージをこなすみたいな感じですね。

 

そうですね。イベント出店など実際やってみて反省点がみつかると、次に活かしたいと思えますね。クッキーのデザインも自分がやりたいと思って作ったものが売れなくて、間に合わせで作ったものが意外に売れたりするので、データを蓄積していって、誰かにプレゼントしたくなるような、喜ばれるものを作り続けていきたいです。

(蓋を開ける時にワクワクしそうなクッキー缶はプレゼントにぴったり)

(音楽好きの串山さん。部屋にはこれでもかなり処分したというUKロックやパンクなどのレコードがたくさん)

 

「シンプルで可愛い」を大切に、自分が楽しく作ることができるクッキーを考えているという串山さん。土台となるクッキーの味や硬さにも工夫を凝らし、見ても食べても美味しいアイシングクッキーを追求しているとのこと。

手にした人の喜ぶ顔を想像しながら、試行錯誤を繰り返して常に進化を続けているLilou cookieのアイシングクッキーは、いつも新しい喜びを与えてくれそうです。

 

 

<作家情報>

Lilou cookie

HP: http://lilou-cookie.com/

Instagram @lilou_icing_cookie

イベント情報

アート&てづくりバザール VOL.44
■開催日: 2023年12月2日(土)・3日(日) 午前10時~夕方5時
■開催地: 大阪南港 ATCホール 大阪市住之江区南港北2-1-10

※ATCホールはATC館内O’s(オズ)南館1F
※最終入場は午後4時30分です。
※分散来場にご協力お願いいたします。

前回同様、第2会場を設けることになりました!
ATCホールがあるO’s棟の北館3F催事場「ウミエールキューブ」も会場となります。

PROFILE

Kaori Sawada
2022年11月からMeTAS+で記事を書かせていただくことになりました!取材を通じて色んな方にお会いできるのが楽しみです。

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