「儀式」の話

mother's wish
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「儀式」の話 1

まもなく、アート&ハンドメイドバザール大阪41の開催です.わたくしにはイベントに出かける前に幾つかの「儀式」があります.

その一つが、テーブルにかけるクロスのアイロン掛けです. 決して大して汚れてしまうわけではありませんが. 毎回イベントが終わり 荷物が会場から戻ってくると何をおいても、この2枚のクロスの洗濯をします.

乾けば、すぐにアイロンをかけて次にそなえれば良いようなものなのですが. やはり、開催が迫って荷物搬入期限の2、3日前でないとなんだか. そのイベントに向けての気持ちが入らないと言うか. 「一擦入魂」感覚なんだと思います.

霧吹きをして、熱いアイロンで洗いじわをのばし. アイロンをかけるときの独特の匂いを感じながら. どんな「一期一会」があるだろう?「一期」だった方と「二会」「三会」と繋がるだろうか? mother’sのブローチを見てくださった方から、どんな声が聞けるだろうと.

どんなにイベントが続いている差し迫っていても. 洗いじわがさほど気にならない時でも. 欠かすことができない儀式です.

「儀式」の話 2

また一つは、当日出かける前の儀式です.

わたくしはクリスチャンではないのですが、幼い頃通っていた教会の日曜学校で. また、息子が30年前にお世話になっていた幼稚園で. 毎年いただいていたマリア様の像が.この写真にあるだけでなくいくつかあります.

イベントに出かけて行く直前にこのグラスをきれいに水洗いしてからお水を汲み入れてマリア様に手向けるのです.

まず、決して若くはない年齢的なことや、体調のこともあって.( 変形性股関節炎や腰椎の圧迫骨折、ついこの9月にも二度目の腰椎の圧迫骨折をしてしまいました).とにかく、どこかに痛みが出たりせず、疲れず元気に帰って来れますようにとお願いします.

そして、贅沢は言いませんから.mother’sのブローチがどなたかの目に留まりますようにと.これはご購入いただくことができるできないではなく. どうやって作っているのかに興味を持っていただくことでも. わたくしの話を聞いてくださることだけでも良いのです.

お水を手向け、そんなこんなをマリア様に語りかけます.

本当に時折、朝の準備のバタ付きで忘れてしまい外に飛び出してしまうことがあります. 玄関ドアに鍵をかけた直後、あるいはバス停までの道のりならば. たとえバスを一台見送ることになっても. 引き返して.マリア様にお水を手向け、語りかけます.

この「儀式」もイベント出展の際のわたくしの必須です.

「儀式」の話 3

儀式の最後の最後は、いつもブローチの製作をしている机に向けての儀式です.

この机は、わたくしが.図案作りにイライラしていたことも.色指定に頭をかかえてしまったことも.「あ〜もう無理無理!! やめた!やめた!」と投げ出したことも. ノリノリで鼻歌まじりで針を動かしていたことも.

イベントでお買い求めくださった方々から長文の感想のメッセージをいただき涙ぐんでいたことも. 時には、あまり多くのお客様に目に留めていただくことができなくて.悲しい思い、悔しい思いをしたり.「このまま続けてていいんだろうか?」と.ただただ、無表情になってしまっていることも.

全部全部知っている机です.
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パッケージ作りの時のカッターの傷跡があちらこちらにあったり.ブローチのうらの仕末の時のいろいろな接着剤がこびり付いていたり.何より、定位置で作業をしているので、手前中央部分は塗装が剥げてしまっています.

そんな言わば苦楽を共にしてきた机に手を添えます. ドラマ「ドクターX」の大門未知子が手術後に.クランケの肩にそっと手を置く、心もちはあの感じです.「大丈夫」と.

さすがに「私失敗しないので」とはイベント前には言えるような心境にはなれませんが.

そして、最後に、わたくしの製作中の後姿をずっと見続けている二匹のクラシックスヌーピーと二羽のウッドストックに「行ってくるね」そう声をかけて、イベント会場に向かいます.

今週末、わたくしはこの一連の儀式をこなして、会場に立っています.

PROFILE

mother's wish
〜〜〜ブローチ専科〜〜〜〜. 2014年、55歳になってから始めたブローチ作り. そんな年齢になってようやく腰を上げ、とにかく始めてみようと思い立ちました. それでもまだ助走だ、いや試走にすらなってないそんな年月を過ごしてきました. 手芸というものを習ったこともない. アクセサリーを集めていたどころか、持ってもいない. 目の前にお手本にするべき人も物もありませんでした. すべてはわたくしの頭の中の世界です. それでも『はじめみました』そして、今も『つづけています』
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