京都・⽊津｜VERT DE GRIS 暮らしに花を飾る喜びを【後編】

――ラボの花材が豊富で選ぶのに迷ってしまいそうですが、何かコツはありますか？

確かにここでは生花やアーティフィシャルフラワーなど、花材や色が豊富にあるので、作れるデザインも無限にあります。レッスンでは花を選ぶ力を養うため、希望の色とキーワードを3つ挙げてそれをゴールに作品を作ります。例えば「色はピンクでかわいい」だと絞り切れませんが、「色はピンクでかわいい、アンティーク、ナチュラル」だと絞りやすくなりますよね。

この方法は『アーティフィシャル＆ドライフラワーで作るハンドメイドの花飾り』の本の中でも紹介しています。

（色も形も無数にあるアーティフィシャルフラワー）

――その考え方は普段の生活にも役立ちそうですね（笑）。

そうですね。夕食の献立なら「カレー」だけだとスーパーで材料選びに迷いますが、「ピリ辛、牛肉、野菜」などキーワードが増えると選びやすいですよね。

――生花とそれ以外の花材では選び方に違いがありますか？

生花は枯れてしまいますが、アーティフィシャルフラワー、プリザーブドフラワー、ドライフラワーは枯れずに残るものです。だからこそ、もっとその方の好みやインテリアに合わせることが大切です。

花を飾ることで、自分自身はもちろん、贈った方からも暮らしが楽しくなったと言われたらすごく嬉しいですよね。その気持ちを感じていただきたいと思います。うちのフローリストたちも、お客様からキーワードを引き出し、フルオーダーの作品作りを得意としています。

(VERT DE GRIS オリジナル、アーティフィシャルフラワーのマム)

――今回の本の出版以外にも、今後やってみたいことはありますか？

実は昨年、脳腫瘍がみつかって1月に手術をしました。奇跡的に復活し、今新たな気持ちで仕事と向き合っています。また、VERT DE GRISを始めた年に生まれた長男が大学に入学し、これまで仕事と両立してきた子育ての負担が減ったため、フローリストとしての私の表現を見ていただける機会を増やしたいですね。

その思いから、7月30日に本の出版記念と私の快気祝いを兼ねて「GRIS FLOWER PARTY」というパーティーを木津で開催します。私がデザインした空間やワークショップ、復活したポンプチームによる食事などを楽しんでいただける初めての企画です。

※パーティーは満席になりましたが、一般の方が無料でお入りいただける時間帯がございます。

詳細はこちらをご確認ください。

（古川さん⾃⾝は、美味しそうでギュッと詰まった感じのデザインが好きなのだそう）

私たちはお客様や生徒さんのニーズ合わせ、生活の中に取り入れやすく、手の届く範囲の価格で花を提供することを大切にしています。レッスンはVERT DE GRISを始めてから10年以上続けているのですが、初期の頃から続けられている方や、独立して花の道に進まれた方、遠方から来て下さる方など、多くの皆様に支えられています。

今後は今のチームだからこそできる精一杯で、生花、アーティフィシャルフラワー、プリザーブドフラワー、ドライフラワーすべての良さを伝えていきたいですね。そしてカフェも含め、花という媒体を使った空間デザイナーとして活動し、より多くの方々に花と関わるきっかけを与えられればと思っています。将来おばあちゃんになった時、若い方に「グリさんの作品に影響を受けました」と言われたら嬉しいですね。

（”VERT DE GRIS” はフランス語で灰色がかった緑という意味で、ユーカリの葉っぱのような色出そうです）

「花は私たちに元気を与えてくれる」という話を聞いたことがあります。実際にラボを取材し、色鮮やかなたくさんの花材に触れるだけで心が明るくなり、元気で楽しくなる感じがしました。

まずは『アーティフィシャル＆ドライフラワーで作るハンドメイドの花飾り』の本から、そして実際のショップやスクールにも足を運び、VERT DE GRISの花の世界に触れてみてください。

古川 さやか(著)『アーティフィシャル＆ドライフラワーで作るハンドメイドの花飾り』©誠文堂新光社