京都・東山|fuku coffee roastery【後編】あじき路地|若手クリエイターのための京町家が並ぶ路地

Kaori Sawada
2022年11月からMeTAS+で記事を書かせていただくことになりました!取材を通じて色んな方にお会いできるのが楽しみです。
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前編では店主の安食(あじき)さんよりfuku coffee roasteryのロゴや名前の由来について伺いました。

後編ではお店を始める前から趣味で楽しまれていたという、ハンドメイドでのコーヒー豆の焙煎方法について教えていただきます。

ハンドロースターからサンプルロースター、そして焙煎機へ

――以前は個人的にコーヒー豆の焙煎をされていたとのことですが、始めたきっかけは何だったのでしょうか。

 

スターバックス本場のアメリカ留学を経験したことなどもあり、コーヒーは日常的に飲んでいました。ですが、本当に美味しいと感じたものは飲んだことがなかったんです。そんな中、当時あじき路地に入居されていた方を訪ねて来られた学校の先生がおられて、その方が自分で焙煎されたというコーヒー豆をいただいてコーヒーを淹れてみたところ、その美味しさに驚きました。それがきっかけとなり、自分で焙煎を始めてみることにしました。

 

――焙煎方法はどのように学ばれたのですか?

 

焙煎方法はインターネットや本を使って独学です。最初は一般的に販売されている焙烙型の焙煎器を使って、ガスコンロの火を使い焙煎していました。ですが1度に50gしか焙煎できないので、先生も使われていたサンプルロースターという手回しの焙煎器に変えました。これでも焙煎できるのが1回300g〜500gなのでお店で使うのには向かず、今は業務用焙煎機を導入し焙煎しています。

最近は手で焙煎することは少なくなりましたが、今回お見せしたいと思います。

(焙煎する前の生豆。こちらはタンザニア産です。)

(サンプルロースターに豆を入れ、火に当てながらクルクルと手で回します。)

――焙煎中はコーヒーのいい香りがお店中に広がりますね。サンプルロースターはどれくらい回し続けるのですか?

 

10〜15分くらいですね。上手に回さないと豆に焼きムラができてしまいます。途中でポンッと弾けた音がするので、それを合図に焙煎具合を調節します。同じコーヒー豆でも産地によって味や香りが違うので、焙煎時間を変えたりします。

タイミングを見てコーヒー豆をザルにあげて冷まします。焦げた豆は雑味になるので取り除き、数日間寝かせると美味しく仕上がります。

(焙煎できました!)

 

業務用焙煎機ではこの手順を自動化し、さらに一度に大量の豆を焙煎することができます。ですが全ては自動化できないので、自分の目や耳を使って時間、温度、タイミングなどを見極める必要があります。

飲んだ人の視野が広がるようなコーヒーを提供したい

――いちから自分の手でやってみると、本来の手間や手順が分かりありがたみが増しますね。コーヒー1杯はとてつもない手間と労力をかけて出来上がると聞いたことがあります。

 

そうなんです。なので私はコーヒー農園を持ち、コーヒー苗の栽培もしたいと考えています。そこで採れた豆を使ってお客様にコーヒーを提供し、コーヒーについて皆さんにもっと知っていただきたいですね。国内での栽培を予定しているのですが、まず土地を耕し苗木を植えて、収穫までは3〜4年かかります。収穫も体験したことがありますが手作業なのでとても大変です。

 

――その話を聞けばコーヒー1杯がさらに美味しく感じられそうです。味わいにも目指すものはありますか?

 

私自身、オーストリアのウィーンにありザッハ・トルテ発祥の地として有名な「カフェ・ザッハー」のコーヒ豆をお土産でいただいて飲んだ時、その美味しさに「これ、コーヒーなんですか?」と、視野が広がる体験をしました。そんな味わいのコーヒーを提供したいですね。

(コーヒーはハンドドリップで1杯ずつ淹れます)

 

――安食さんご自身も路地の入居者のように、自分の手で何かを生み出すことがお好きなのでしょうか。

 

私は絵を描いたり物を作ったりすることはしませんが、やはり手を動かして作られた温かさのある物に幼い頃から親しみがあります。昔がいいということではありませんが、手仕事の良さは伝えたいですね。

手で行う焙煎も、自分自身に余裕がないとなかなか気が進みません。以前、父が亡くなり仕事を引き継ぐなど忙しかった時は焙煎からしばらく離れていました。それが数年続き、心が落ち着いた頃に再び焙煎を始めました。そんな心の余裕も大切にしていきたいと思います。

(バタフライカップというアイルランド生まれの蓋もストロー要らないカップ。)

 

 

fuku coffee roasteryのロゴと店名の由来を知り、古いものを大切にしながら、これからあじき路地の新しい時代を担う安食さんにピッタリだと感じました。店舗には2階にもスペースがあるので、今後はイベントや個展なども開催し、サロンのような空間にしていきたいとのこと。

この場所で育ちお母様の活動を見てきた経験があるからこそ、愛着を持って未来に残すべきものを伝え、あじき路地と街をつなぐスポットとして多くの人が訪れる場所になりそうです。

 

 

店舗情報

fuku coffee roastery

概要
ロゴのデザインを担当された遠藤壮馬さん
HP:https://endosoma.jp/
Instagram:@endosoma.jp
あじき路地
HP:http://www.ajikiroji.com/
HP
https://www.fuku-coffee-roastery.com/
SNS
https://www.instagram.com/fuku_coffee_roastery/
TEL
075-708-5159
住所
京都市東山区大黒町通松原下る2丁目山城町284-3
備考
※ご来店時は営業日・営業時間をS N Sなどで直接ご確認ください。
※取材時点の情報です

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