家庭用ミシンを使ったニットの縫い方を解説|コツを抑えて伸びる生地もキレイに縫える
家庭用ミシンでニットを縫うのが難しい理由
手軽に使えて便利な家庭用ミシンですが、ニット生地は扱いが難しくキレイに縫えないことが多いです。特に、ニットを縫うのに失敗してしまう人は、4つのポイントで苦戦するケースが少なくありません。
生地が伸びてしまうから
ニット生地を縫っていると、段々生地が伸びてしまうことがあります。生地が伸びて仕上がってしまうと、見た目が悪いだけでなくニット生地の特徴である伸縮性も失われてしまうでしょう。
押さえ金に生地が噛んでしまうから
ニット生地の多くは柔軟性を持っています。そのため、少しでも押さえ金に引っかかってしまうと生地が噛んでしまうでしょう。生地を送れず、何度も同じ場所に針を刺して糸を絡ませてしまうケースも多いです。
上下の生地がずれてしまうから
ニット生地同士を縫い合わせるときに起こりがちなのが、上下の生地がずれて仕上がってしまうケースです。上下どちらかの生地が伸びてしまっていることで起こり、仕上がりも悪くなってしまいます。
生地の端が丸まってしまうから
ニット生地は伸縮性の高さから、布端が丸まってしまいがちです。そのままでは縫いにくく、布端の処理も困難です。
家庭用ミシンを使ったニットの縫い方のコツ【動画解説】
今回は、ABCクラフトでソーイングトータルアドバイザーをされているクラフトおじさんに「ニット生地の縫い方」を教えていただきました。MeTAS+の動画でもミシンアドバイザーとして、たびたびご登場いただいています。
Tシャツやトレーナーにも使われる伸びる生地の扱いに苦戦する初心者さんにおすすめの簡単で手軽な方法を紹介します。
1.糸の選び方
ニット生地のように伸びる生地を縫う時は、糸選びが重要です。
まずは、上糸も下糸もスパン糸(普通地用の糸)を使ってニット生地を縫ってみましょう。
一見、綺麗に縫えたように見えても、生地を伸ばすと糸が切れてしまいました。
伸びる生地を縫うときは、生地に合わせて一緒に伸びる糸を使う必要があります。
そこでおすすめなのが、下糸にウーリーナイロンという伸縮性を持った糸を使う方法です。
通常、ニット生地にはロックミシンを使用しますが、下糸をウーリーナイロンに変えれば、家庭用ミシンでも伸びる生地を縫うことができます。
下糸に伸縮性のある糸を使うことで、生地を引っ張っても糸が切れにくくなりました。
2.ニット生地の伸び止め
ニット生地を家庭用ミシンで縫うと、生地が伸びてしまうことが少なくありません。
しかし、ニット生地の縫い止めをしておけば、生地を伸ばさずに縫うことができます。
今回、生地の伸び止めに使ったのはアイロン用スプレーのりです。
使い方は、縫いたいニット生地にスプレーのりを吹きかけるだけです。
生地が傷まないようにクッキングシートなどを上においてからアイロンをかけます。すると、生地がパリッとなって縫いやすくなります。アイロンのリは洗濯すれば元のニット生地に戻るので安心です。
3.端の縫い方
ニット生地で作品を作る時、布端の処理が必要です。
その時に是非試して欲しいのが、押さえ金の交換です。押さえ金をニット生地に適したものに交換することで、真っすぐ縫えるようになります。
今回は、スムースフットという押さえ金を使用します。
押さえ金を交換する時は、必ずミシンの電源を切って行いましょう。針は一番上まで上げておきます。
次に、レバーを上げて押さえホルダーを手前に押すと押さえ金が外れます。
押さえ金のピンとホルダーの溝の位置を合わせて、取り付けた押さえ金を静かにおろせば完成です。
スムースフットを使えば、生地がスムーズに送れてキレイに縫うことができます。
布端の処理にはジグザグ縫いを活用しましょう。
家庭用ミシンでニットを縫うポイント
この他にも、ニット生地をキレイに縫うためのポイントがいくつかあります。
伸びにくいニット生地を使う
ニットにはさまざまな種類があり、それぞれに伸縮性も異なります。ミシンの扱いに自信がない場合は、比較的縫いやすく伸びにくいニットを使うのがおすすめです。スムースやリブニット、ニットポンチ、スウェット生地などは、初心者でも比較的縫いやすいでしょう。
ニット用の針や糸を使う
ニットをミシンで縫う時には、ニット用の針や糸を使うのがおすすめです。ニット用の針は針先が比較的丸くなっており、生地を傷めずに縫うことができます。また、ニット用の糸は伸縮性があるため、ニット生地が伸びた際にも糸が切れにくいよう仕上げられます。
押さえ金をテフロン押さえや上送り押さえに変える
ニットはミシン送りをした際に噛みやすい生地です。そのため、生地が噛んでしまったり縫い目がガタガタになったりしやすい傾向にあります。
ニットのような滑りにくい生地をスムーズに送るには、テフロン押さえ(スムースフット)や上押さえを使うのがおすすめです。これらの押さえ金を使うことで、生地をスムーズに送りながら縫えるようになります。
押さえ圧を弱める
押さえ圧が強いと、ニット生地は縫っている途中にどんどん伸びてしまいます。ニットを縫うときは、押さえ圧を弱めてミシンを使用しましょう。
ハトロン紙と一緒にニットを縫う
縫っている途中でニットが伸びてしまうことを防ぐには、ハトロン紙を使う方法がおすすめです。ハトロン紙を使うことで、ニットの伸びを防ぎ生地の上下をぴったりと合わせて縫うことができます。
縫い終わった後は、ハトロン紙を破って取り除けばOKです。ハトロン紙がない場合は、クッキングペーパーなどでも代用できますよ。
紙やすりを当てて縫う
どうしても押さえにニット生地が噛んでしまうという場合は、押さえ金とニット生地の間に紙やすりを当てて縫ってみてください。紙やすりのザラザラした面をニット生地につけて縫うと、驚くほどスムーズに生地が送れるようになります。
接着芯を貼ってから縫う
ニット生地を使いつつも、絶対に伸ばしたくないパーツなどを縫う時には接着芯を貼りましょう。接着芯を貼ることで、生地は伸縮性を失い伸びずに縫うことができます。
ニット用伸び止めテープを活用する
接着芯よりも手軽にニットを伸びにくくしたい場合は、ニット用伸び止めテープを利用するのがおすすめです。伸縮性を押さえたい部分に貼って、アイロンをかけるだけで、生地の伸びを防いでくれます。
ニットを縫う時はどんなミシンを使うのがいいの?
ニットをキレイに縫うためには、ミシンの性能も必要です。以下の特徴を持ったミシンは、比較的ニット生地を縫いやすいです。
押さえ圧調節機能のあるもの
ニットは余分な圧がかかってしまうと簡単に伸びてしまいます。そのため、押さえ圧の強さはニット生地をキレイに縫えるかどうかを考えるなかで大変重要な要素です。
押さえ圧の調節機能を持っているミシンであれば、ニット生地に合わせて押さえ圧を弱めることができます。ニット生地を縫う際には、押さえ圧調整機能のあるミシンを選ぶのがよいでしょう。
ニット縫い(伸縮縫い・三重縫い)機能があるもの
ニットを縫う時におすすめの縫い方が伸縮縫いや三重縫いなどの、縫い方自体に伸縮性を持った手法です。伸縮縫いや三重縫いをすることで、ステッチが切れにくくなり、しっかりとニットを縫えるようになります。
しかし、伸縮縫いや三重縫いは、どのようなミシンでも使える縫い方ではありません。ニットを縫う時は、お使いのミシンで伸縮縫いや三重縫いをできるのか事前に確認してみてください。
伸びる生地はロックミシンを使うのがおすすめ
ロックミシンは、かがり縫いや伸縮縫いなどの特殊な縫い方に特化した本格的なミシンです。洋服を縫う際などにも用いられ、複雑な縫い方ができるためニット生地でも簡単に縫うことができるでしょう。
さまざまな工夫を凝らすことで、家庭用ミシンでもニット生地を縫うことができますが、よりキレイに縫いたいという場合は、ロックミシンを使うのがおすすめです。
ニット生地を家庭用ミシンでもキレイに縫おう
今回は、縫い方が難しいニット生地について紹介しました。生地が伸びたりずれたりしやすいニット生地ですが、工夫することで家庭用ミシンでもキレイに縫うことができます。今回紹介した方法を参考に、ニット生地を家庭用ミシンで上手に縫ってみてはいかがでしょうか。
また、ニット生地をよりキレイに縫いたいのであれば、ミシンの性能にも注目する必要があります。適切な道具を適切な方法で使えば、扱いが難しいとされるニット生地も想い通りに扱うことができるでしょう。
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※記載は取材時点の情報となります。
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