「レザークラフトで見つけた、自分らしい生き方」革小物作家・Romance Station 梶本安広さん
革小物作家・Romance Station 梶本安広さんにインタビュー
革製品のブランド「Romance Station」を手がける革小物作家の、梶本安広さん。
普段は、革素材の財布・バッグなどを作っていらっしゃいます。
過去にはさまざまな仕事をしていましたが、「後々考えたら無駄ではなかった」と、その経験が今に生きていると感じるそうです。
今回は、レザークラフトを始めたきっかけやブランドを立ち上げた経緯を、インタビュー形式でうかがいました。
疲れた時のリフレッシュ方法や、どんなことから作品づくりのインスピレーションを受けるのかなど、興味深い話も飛び出しましたよ。
「漁師の嫁財布」個性あるれる革小物たち
遊び心のある特徴的なデザインのアイテムが目を引く、革製品ブランドの「Romance Station」。
梶本さんも「普通の革製品というよりおもしろいものが多い」と言います。
他ではあまりないようなデザインのものを作り始めたのは、奥さまに「財布がほしい」と言われたことからでした。
居住地が神戸ということもあり、灯台の刺繍をいれて「漁師の嫁財布」と名付けたこの財布は、今もブランドの人気アイテムです。
他にも、お子さんが恐竜好きということから恐竜をモチーフにした革小物も制作し、こちらも好評だったそう。
また、ランドセルのリメイクの要望も多いのだとか。
革だけでなく合皮素材でも製作可能で、思い出のつまったランドセルを目立つような部分に使用して作品をつくっているそうです。
レザークラフトを始めたキッカケ
梶本さんがレザークラフトを趣味で始めたのは20年程前のこと。実際に販売を始めてからは14~15年くらい経ったそうです。
お子さんが生まれ、子育てのことも考え、「田舎の方でのびのびと作ろうかな」と、自然豊かな今の居住地で制作をしています。
新鮮な空気を味わい鳥の声を聞いていると、制作意欲もわいて作業がしやすいのだとか。
レザークラフトを始めたキッカケは、もともと革ジャンなどの革製品が好きで、スタッズベルトを手づくりしたことが始まりだったそうです。
「意外と自分でもできる」と気付き、レザークラフトにハマっていったとお話してくださいました。
「Romance Station」の名前の由来
ブランド名の「Romance Station」の名前の由来もうかがいました。
以前徳島で、2人1組で車に乗って、携帯電話の電波を探す仕事をしていた時のこと。
一緒に組んでいた方がもともと営んでいた喫茶店の名前が「Romance Station」でした。
海沿いに列車の車両を1台置き、そこでハンバーグを作るという、なんともオシャレなお店だったそうです。
当時、趣味ですでにレザークラフトを始めていた梶本さんは、その方に背中を押してもらい、神戸の方に引っ越すことに。
喫茶店はすでになくなっていたのですが、お店の名前をぜひ継がせてほしいと、「Romance Station」という名前をいただいたのだそうです。
引っ越してからは、革材料の販売や革紐工場のアルバイトと両立しながら、夜中まで革製品を作るという生活をおくりました。
「あの頃は頑張ってたなと思います」と、笑顔で話す梶本さん。
販売を始めて3年経つと、イベントである程度目処がつくぐらい売れるようになり、その後1年を通して定期的に販売できるようになったそうです。
「こういう仕事をすると決めて神戸に出てきたので、“ただでは帰れない”というのもあって。そういうところで頑張れたのかなと思います」と振り返ってくださいました。
梶本さんのアトリエをルームツアー
普段作業をしているアトリエを見せていただきました。
作業台の引き出しにはカッターや定規・ホチキスの芯などのさまざまな道具が入っています。
壁にはたくさんの工具がズラリ。
「圧着」という、革を接着したものを挟む工程で使用する道具には、中の部分に革を張り付けて、接する作品に傷がつかないように工夫が施されていました。
ファスナーなどの金具を切るための道具や、ゴムのりを塗るためのヘラなど、レザークラフトならではの工具も並んでいます。
中には、もんじゃ焼き用のヘラや、漆喰をぬる用の道具など、一見レザークラフトとは関係無さそうな道具も。梶本さんが今まで試してみて、良いと感じたアイテムを作業に役立てているそうです。
作業台の上にも小分けになった金具が収納されていて、よく使う道具はすぐに取れるようになっていました。
こちらは、レザークラフトを始めた時から使っている、革専用の厚物ミシン。
本体は40~50年前のものですが、下に最近買ったモーターを付けて使用しているそうです。
壁掛けにはさまざまな色や太さの糸が掛かっており、できる限り動かずに取りたいと工夫した結果このような形になったんだとか。
「革漉き機」という、革専用の機械もありました。
革製品を作るのには必要なもので、厚みを薄くする作業で使用します。
梶本さんが作業に疲れた時に活躍するのが、こちらのベランダです。
自然の空気を吸い、鳥の声を聴くことで癒やされるのだそうです。
梶本さんのリフレッシュ方法
お子さんと公園に遊びに行ったり散歩に行ったりと、豊かな自然の中で、何かおもしろいものがないか探すのが梶本さんのリフレッシュ方法です。
「意外と知らないことが結構あって、日々発見している」という梶本さん。
作品のモチーフのインスピレーションも、お子さんがしているゲームやアニメなど、意外なものから受けることがあります。
そのまま使うというよりは、キャラの丸みなどのデザインが参考になるんだとか。
日々の生活の中で、さまざまな物事から発想を得て、制作に役立てているようです。
梶本さんをMeTAS(満たす)瞬間は?
梶本さんを満たすのは、どんな瞬間なのでしょうか。
販売するときは、実際に4、5年使ったサンプルも一緒に置いているという梶本さん。
お客さんもずっと長く使いたいという方が多く、壊れないようにしっかりつくるようにしていると言います。
実際に10年ぐらい使っている方もいらっしゃり、イベントなどで見せに来てくれるそうです。
「デザインを気に入ってもらって、どんどん広げていってもらえるのがやっぱり嬉しいですね」と笑顔でインタビューを締めくくってくださいました。
革小物作家・梶本安広さんの情報
PROFILE
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