【後編】京都・四条烏丸｜ハンドメイド作品にも出会える甘党茶屋「うめぞの CAFE & GALLERY」

前編では3代目店主の西川葵さんに「うめぞの CAFE & GALLERY」をオープンした経緯やメニューについて伺いました。
後編では店内で展示販売されているハンドメイド作品について、西川さんのお店に対する想いについても語っていただきます。

―お店にハンドメイド作品を置こうと思ったきっかけは何ですか？

私の家族旅行の経験からです。旅行先のお店でお茶をした時に、地元の方の作品が並んでいるようなギャラリーが併設されているところがありますよね。そこがホッとするなと思っていて。家族でそこを見た時に「こんなんあるで」と、会話のきっかけになる。自分でお店をする時はそういったスペースを作りたいと考えていたんです。

―「うめぞの CAFE & GALLERY」でも、ハンドメイドの作品に初めて触れた方が、それをきっかけにハンドメイドや作家さんに興味を持ってもらえると嬉しいですよね。

そうですね。作品はお客様の層を考慮して選んでいるのですが、スイーツ好きの方がハンドメイド好きではないですし、京都に観光に来られた方、雑誌を見て来られた方、それぞれのお客様の行動範囲になかったものをポンッと入れてみて、ここでしかない出会いを楽しんでいただきたいと考えています。

（壁に年間の展示スケジュールが貼られていました。2023年のものは１月中頃から準備されるそうです。）

―展示を依頼する作家さん選びで軸にされていることはありますか？

今のところパーツから作られている方で、かわいい、楽しい、ポップ、あったかい感じがするものを選んでいます。私より若い年齢層の方に好まれるものを意識しているので、お店の若いスタッフも一緒に意見を出し合いながら決めています。

（取材時の12月上旬には“itono brooch 【遠慮しないブローチ】”展が開催され、糸で作られた小さな花でできたブローチやイヤリング、ネックレスなどが展示販売されていました。）

Instagaram @itonobrooch

―第１回目に展示された方はどんな方でしたか？

私の知人でアウラ・ロコ（Instagaram @aura.loco）というブランドでアクセサリーを作られている冨永大士さんという方です。当時は冨永さんご自身の大きな作品を展示しました。それ以降はアクセサリーの展示で何回もお願いしています。

―1年を通じて展示のテーマなどは決められるのですか？

現在のスタイルは試行錯誤の結果なのですが、こちらの展示に出ていただく方は私の知人や大家さんの娘さんなど、繋がりのある方が多いですし、皆さん１回きりでなく何回も展示をお願いしています。

続けることで作家さんのファンの方にも来ていただきやすいですし、何より作家さんにここでの出展を楽しんでもらって、長くお付き合いをしていきたいと考えています。なので、特にこちらでテーマなどは設定せず、逆にそれぞれの作家さんの人生に沿ってスケジュールを決めるようにしているんです。例えば女性で出産された後でしたら、そろそろ子育てが落ち着いてお願いできる頃かな？などとタイミングを考慮して予定を伺うようにしています。

―西川さんご自身も3代目を継がれていますし、「長く続けていく」ことを大切にされているんですね。

そうですね。特に京都の人は、長く続いているものに価値を置く人間性があると感じているのですが、私自身も続けることが当たり前だと考えています。なので、何を始めるにしてもこれから何百年続けられるかどうかを意識していますね。

例えば、今の時代を反映した斬新なものを作ってしまうと、時代が変わった時に合わなくなって続けられなくなってしまう可能性があると思うんです。昔から続いているものを少し変えて今に合わせていくと、未来に何か違うかなと感じた時に、少し変えるだけで次の時代に渡していけるのではないでしょうか。

何百年後に「昔からずっとやってはるしな」と言っていただけるものを作っていきたいですね。

（店の2階にも常設の展示販売があります。こちらは梅園のロゴをモチーフにした器。）

日本人にとって心和むあんこスイーツを、新しい切り口で守り続けられている「梅園」。
「うめぞの CAFE & GALLERY」ではさらに、ハンドメイド作品に触れることで「美味しさ」だけではない新しい出会いがあるお店です。作家さんもよく在廊されているそうなので、展示の期間中にぜひ訪れてみてください。（展示だけを見ることも可能です。）