日本一のジュエリー職人｜京都・宇治「SAIJO」森拓郎【前編】

今回の記事では、”日本一”のジュエリー職人、森さんを中心にご紹介します。森さんは2021年 に『第31回一級技能グランプリ 貴金属装身具 優勝 金賞受賞・内閣総理大臣賞受賞』されており、名実ともに、『日本一のジュエリー職人』です。

日本一のジュエリー職人、森さんが営まれているお店が『SAIJO』です。お店は、最寄駅は京都にある宇治駅 。徒歩3分の場所にあります。

SAIJOではフルオーダーメイドジュエリー、リフォームを扱っています。又、週に3日、彫金スクールも行っています。

森さんの原点は、幼い頃のプラモデル好きでした。

森さんがものづくりに興味を持ったのは、幼い頃。子供向けの工作番組やお父さんがプラモデルとか作っている様子を通じて、ものづくりに興味が沸いたそうです。４・５歳くらいにはガンダムのプラモデルを毎日毎日作る日々を過ごし、小１くらいではミニ四駆を作っていたんだとか。

とにかくプラモデルを作るのが好きで、船や車・バイク・飛行機・戦車・・・一通り作られたそうです。相当なプラモデル好きですね！

写真のガンダムは、好きが高じて、盾を金属で加工し石留めを施しています。

小さな頃から色々なことに触れるって大事ですね。

プラモデルを作って友人や親に見せると「すごいなー！器用だねー！」などとは言ってはもらえるものの、「プラモデルを作ってくれてありがとう！嬉しい！」などの言葉はなかったそう。今思えば、それが”もやっ”としていたのだろうなと思うと幼少期の体験を振り返られました。

高校2年の冬に、あるドラマのワンシーンでボルトを削った指輪をプレゼントするというシーンがあり、それ見た森さんは”かっこいい！自分もジュエリーを作りたい！”と思い、ジュエリー制作の道に進むことを決心。自分の好きな”ものづくり”。自分が作る作品で、喜びを与えたい！と心に決めたそうです。これが、現在の『ジュエリー職人 日本一』への第一歩だったのではないでしょうか。

その後ジュエリー制作を学び、実際に仕事にしていく中で、制作だけをしていると届いた人の顔もわからなければ反応も得られない。自分が作ったものがお客様の思いが届かないことは自分のやりたいことではないと思うようになりました。

お客様を喜ばせたい、お客様の喜んだ顔をみられる仕事がしたい！と思い、独立することを決心。現在のお店をオープンされました。自分の理想である仕事の仕方を叶える、この思いを貫き通すというのは、普通はできないことですよね。すごいです。

この春でお店は7年目。

完全ゼロからのスタートだったそうですが、今では沢山のお客様と話しながらデザインを起こしたり形にしていったり、思い描いていた日々を過ごされています。

メインはフルオーダーでお客様とお話をされながらデザインを決め、お客様の思いとデザインを形に日本一の技術で作り上げます。ブライダルリングやリフォームを行っております。

まずフルオーダーはデザインを精密に描くところからスタート。お客様と完成イメージを一緒に考えていきます。一緒に作り上げていくスタイルが素敵です。

お客様は遠方の方も多く、フルオーダーだからこそ出せるオリジナリティの部分や技術の高さを評価してくれている方が多いそうです。森さんとお話していて、森さんのお客様に寄り添ってジュエリーをつくる制作スタイルも人気の理由の一つなのではと感じました。

フルオーダー以外にも、指輪をペンダントに変えて欲しいなど、リフォームの相談も良くいただくそうです。

リフォームもフルオーダーと同じく、まずはお客様と納得いくまで話し、デザインを決めます。「リフォームはこれまでの背景やストーリーがあるジュエリーなので、そんなところもお話しをしながら新しいものへ変身することができる」と語る森さん。素敵な制作過程です。

0.01mmまでこだわり、お客様の持っていた石に合うように制作します。お預かり品のため、より慎重に進める大事な工程です。

完成！

これまでのストーリーも忘れずに、これから先も一生身に付けたいジュエリーに生まれ変わります。

分野ごとに技術力の日本一を決める「技能グランプリ」といわれる大会があります。この大会では28職種項目に分かれ、森さんは2021年に行われた『 第31回一級技能グランプリ 貴金属装身具』にて優勝。金賞と内閣総理大臣賞を受賞されています。

貴金属装身具部門、いわゆるジュエリー部門で日本一に輝いた実績を持っています。

この部門では2日間（合計9時間）で製作し、その美しさを競います。

この大会で優勝するために、当日最高のパフォーマンスを出せるように当日履く靴、当日着る予定の服を着て、3ヶ月間を過ごされたそう。ここまで徹底して準備期間を過ごした職人は森さんの他にいないのではないでしょうか。

もともと負けず嫌いだった森さん。とにかく一位を取りたい。好きなことでは負けたくない。この強い気持ちが、日本一への原動力だったのでしょう。お客様や取引先にも、絶対に1番と取ると公言。3か月間仕事をお休みして、ひたすら大会に向けた準備に力を注ぎました。

図面を見ているだけで混乱。これを９時間で作るなんて、、すごい技術です。3か月間のお休みの間は、当然収入はなく、このようなリスクを取ってまで、一位を目指された森さん。絶対に一位を取ると公言しつつけた言葉は、言霊となったのでしょう。見事一位となりました。

各部門トータル28名のグランプリが輩出された中で、優秀な4名のみに授与される内閣総理大臣賞も受賞されています。

このグランプリを獲得してから良くも悪くも少し敷居が高いイメージがついたそう。「フルオーダージュエリーということもあり、金額的なものは覚悟していただいています。そのかわりに、制作に掛けている時間・本気度は比べ物にならない。」とお話しいただきました。

彫金日本一！プロフェッショナルな森さんですが、人とお話したり、技術を伝えることも大切にしたいそうで彫金教室を開かれています！

詳しくは後半に綴りましたので、ぜひチェックしてみてくださいね。