【てづバ.vol41レポ】趣味から始まった、古いものの歴史を残すアクセサリー作り

Kaori Sawada
さらに表示

【第3回】てづバvol.41 ライターが気になった出店者レポート!

昨年12月10日(土)11日(日)に開催されたアート&てづくりバザール VOL.41。てづバに行くのはこの時初めてのライターが、気になった出店者にその場で話を伺いました。 全4回でお届けします。

3回目は「kotokoto」の有馬武さん。「古道具屋が仕立て直したアクセサリー」というキャッチコピーで、東欧の国を中心に古いバッジなどの素材を集め、今使えるアクセサリーを作られています。

ライターから転進のきっかけ

(取材を申し込むと、以前はライターのお仕事をされていたということでした。)

―ライターからなぜこちらの商品の販売を始めることになったのですか?

以前は私がライター、妻がグラフィックデザイナーとして、チラシなどの印刷物やウェブサイトの仕事を受注していました。妻の妊娠と出産を機に、これまで2人で組んでいた仕事ができなくなったのですが、デザインを外注するとなると費用が掛かるし・・・。と、悩んでいたところ、それまで私の趣味で集めていた30年前くらいの東欧のデザインのマッチ箱のラベルを「集めているならやってみない?」と、販売することを紹介して下さった方がいたんです。そこから本業にしよう、と決めた時にバッジや帽子ピンがあることがわかり、それらを買い付けるようになりました。ですが、そのままでは使いにくいし、修理して使いやすくして販売した方が楽しそうだなと思い、手を加えたものを販売するようになりました。

(東欧の1970〜80年代のバッジを修理加工したブローチ。ちなみにkotokotoの店頭にあるポップなどはすべて奥様がデザインされているそうです。)

―ご家族の環境の変化がきっかけで、完全にお仕事を変えられたんですね。

そうですね。自分でもまさか趣味が仕事になるとは思っていませんでした(笑)。

―イベント出店以外では、どちらで販売されているんですか。

委託販売とウェブショップです。店舗はないので、直接お客様と接することのできるイベント出店は大切にしています。

-東欧以外の国の素材も使われているのでしょうか?

特に私はロシアやウクライナのデザインが好きだったのですが、残念ながら今は社会情勢の影響で厳しくなってしまい、その流れでフランスのものを扱い始めました。

-私もロシアや、チェコなど東欧のデザインは独特でおもしろいなと思っていました。フランスもデザインに特徴がありますか?

(東欧のデザインのブローチ。デザインや色合いが独特です。)

フランスはポップですね。ミシュランやマクドナルドなど、世界的に知られているブランドのデザインが入ってきます。

(フランスの1980〜90年代のバッジを素材に使ったもの。)

(素材がたくさん入ったケース。)

輸入した素材を修理する前はこんな感じですね。これを業者から購入しているのですが、送られた中身を見ると同じものばかり入っていたりして(笑)。毎回何が届くのか、楽しみで仕方がないんです。

そのままの状態だと、基本的に金具がすべて剥き出しなんですよね。針の部分はそのままだと危ないので手を加えて安全に使えるようにして、ネクタイピンやピアス、大きいものだとブローチなどに作り変えるんです。

古いものの歴史を残すアクセサリー

-日本の素材も扱われていますか?

活版印刷の、活字という文字の部分を素材にしたキーホルダーがありますよ。昔はこのハンコのようになっている活字を文章になるように組んでインクをつけて印刷していたのですが、今はパソコンで印刷データを作るのが主流なので、活字は使われなくなってしまったんですね。これらは古道具屋に流通していて、溶かして釣りの重りにするのが流行っていたりするのですが、私はそのままを使って別の商品を作っています。

(活字を使用したキーホルダー。文字がすべて違います。)

硬券といって、昔の鉄道乗車券を素材にしているものもあります。イギリスやアイルランドなど海外の硬券もあるのですが、おもしろいのが日本と券の規格が同じなんです。作られたのは明治か大正の頃だと思うのですが、おそらく硬券を作る機械そのものを日本が輸入してきているので、同じ規格になったのではないでしょうか。

-今では考えられませんが、当時の日本は乗車券の機械を作る技術はまだなかったでしょうから、歴史と夢を感じます。

(硬券のキーホールダー。上は北アイルランドで下が日本のもの。)

他にも壊れた古時計を分解して素材にしたり、使われなくなったペン先を使ったり、「今の生活で使えないものや捨てられてしまうもの」を、どうやって「今の生活で使ってもらえるもの」にできるかを考えることが楽しいです。

-元の古い形やデザインが残っていれば、違う使い方になってもそこに歴史を残すことができますよね。有馬さんが作られているものはアクセサリーを中心とした「身に着けるもの」なので、使われる方がそれらの「古いもの」により愛着を持ちやすくなると思います。

(時計のパーツを使用したアクセサリー。)

(1900〜50年代のペン先を使用したアクセサリー。)

(ネクタイピンは、アクセサリーとして女性の方から人気があるそうです。)

最近は100円均一ショップなどでレトロ調のものが流行っているのですが、そうやって間口が広がって古いデザインに興味を持つ人が増えてくれれば、逆にうちは本物だということで販売できるのでありがたいですし、これまで捨てられてしまっていた古いものたちに注目が集まるようになれば嬉しいですね。

【店舗情報】

【店名】
kotokoto

【Webサイト・SNS】
https://kotokoto.kokashi.net/

PROFILE

Kaori Sawada
2022年11月からMeTAS+で記事を書かせていただくことになりました!取材を通じて色んな方にお会いできるのが楽しみです。

関連記事

PICK UP

ミタス編集部がおすすめするピックアップ記事

RANKING

ハンドメイドの人気記事