「旅する製本展」に行ってきました|渋谷文泉閣の製本
こんにちは、手づくり本屋こころあそびです。
先日、石川県立図書館で開催されていた「旅する製本展」に行ってきました!
渋谷文泉閣という製本会社さんが長野県から来られていて、製本のキホンやホントに困ったトラブル、ホンキの製本作品などがびっしりと展示されていました。
紙のこと、製本のことをもっと勉強したいと思っていたわたしは、その光景にワクワクしっぱなし。
紹介の許可をいただいたので、いっしょにワクワクを感じていただけたらと思います。
製本のキホン
渋谷文泉閣は、社内一貫生産で製本のすべての工程に携わっているとのこと。
展示ではその工程ひとつひとつを、サンプルと共に紹介されていました。
製本の説明を本で読むことはあったけれど、こうして実際に触ってみると理解度がぜんぜん違う!
上製本の表紙にする板紙は「チップボール」というものが最も適性が高いとか、その貼り付けには膠(ニカワ)という接着剤が欠かせないとか、それがどういうものかを自分の目で確認できるなんて。
表紙の種類もたくさんの実例とともに紹介。
上製本にも丸背と角背があったり、小口折やフランス装、渋谷文泉閣の独自技術である「クータ・バインディング」という並製本も。
クータ・バインディングとは
筒状の「クータ」を先に表紙に貼り付けてから、表紙と本文を接着する方法。
写真はデザインのひきだし50の付録にもなっている、「クータ・バインディング&D-SPINE」です。
こうして表紙と本文のあいだに空間を作ることで、開きが良く、手で押さえなくても閉じにくい仕様になっているそう。たしかに・・・!
そしてその空間からちらりとのぞくカラフルな模様も、たまりません~!
ホントに困った!製本トラブル
表紙をめくったところに貼る「見返し」に波打ちやしわが発生、表紙にマットPP加工をしたものは擦れ傷が目立つ、など。これも実例サンプルと共に展示。
さらにその原因と改善策までパネルで説明がありました。
わたしはまだまだ勉強中の身ですが、その中でも一番興味深かったのが「紙の順目と逆目をまちがえるとこうなる」というもの。
紙の順目と逆目を見比べてみましたが、わたしにはその違いが一目ではわかりませんでした。
紙のことももっと学んでいきたい・・・!
スイス装のノート
会場ではクラフトコーナーもあり、製本を体験することもできました。
わたしが体験したのは、スイス装のノート作り。
表紙の片側にだけノート本体を貼り、もう片方はパタンとのせるだけという製本方法です。
緊張して手に汗にぎりまくりでしたが、上下の余白(チリ)が均一になるようそーっと合わせて・・・
ノートの背が見えるところがなんとも愛らしく、表紙に箔押しもある素敵なノートが完成しました。
まだまだ紹介したい製本もたくさんあるのですが、やはりこの製本展の魅力は「実際に見て、触れられること」。
12月には岐阜県に旅をする予定だそうで、詳細は決まりしだい渋谷文泉閣のホームページでお知らせがあるようです。
わたしと同じようにワクワクを感じてくださった方がいましたら、ぜひ今後の製本の旅をチェックしてみてくださいね。
最後に、渋谷文泉閣の方に今回の展示についてお話をうかがいました。
「出版物の減少傾向は留まることがなく、一定のノウハウを必要とする「本」の受注は若い世代の方を中心に避けて通る傾向に。今回の展示会はそのような方々に届くよう、3年で30か所の行脚を目標としてスタート。いつか本と向き合ってくださる方が増えてくれるのではないかと期待し活動してまいります。」
すばらしい展示と出会い、わたしも「本を作ること」にまた興味が深まりました。
本と向き合う人が増えること。わたしもその想いを持って創作を続けていきたいと思います。
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